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釣り旅行で大失態

今から数年前に友人の家族と当時知り合ったばかりのオジサンの彼女と海に出かけた。友人の家族はちょうど長男がスイミングを習っていて、泳ぎたいと言うので、伊豆に出かけたのだ。

やはり夏と言えば海。海と言えば水のきれいな伊豆となる。というのは、その友人の言で、オジサンは素直にその言に従っただけだった。

友人は昔から海がスキで、自分でも海で釣りを趣味にしていた。

なぜ伊豆なのかというのが、彼のいでたちで分かった。今時釣りが趣味の人しか着ないようなポケット一杯のベスト。アゴ紐の付いたキャップ、照り返しにまけないような真っ黒なサングラス。

この登場で彼の意図は分かった。

彼は釣りがしたかったわけなんだね。

さらに、すごい装備が車の後ろにがっちり用意されていた。

「これはお前たちの分もあるんだよ」

なんていっていたが、奥さんの薄い笑い方に、「釣りバカ日誌」のハマちゃんの悲哀を見た気がした。

ただ、オジサンだってつきあい始めた彼女が一緒だし、少しでも彼女にいいところを見せたいと思っていたんよ。

釣りはあまりしたことがなかったが、せめて自分が釣った魚を彼女と一緒に食べてみたいじゃない。

だから、釣りをやるという友人と一緒に近くの釣り場にいくのは楽しみにしていた。

釣り場は彼の定宿から手こぎのボートに乗って、15分くらいの岩場だそうだ。

宿泊は、その定宿で、彼の実家なのかと言うぐらいトイレの場所から何からを知り尽くしていた。

ボートは友人家族とオジサンと彼女の乗る分で2艘用意してもらっていたので、オジサンは彼女を誘いながらボートに乗った。

やっぱり、いいところを見せたいじゃん。

でも、いいのはここまでだった。

せっかくの釣り場についても、オジサンが釣るのは雑魚ばかりで、まともな魚は釣れない。彼女も同じでだんだんつまらなそうな顔つきになってきている。

友人の家族も同じで、子どもは泳ぎたがっているし、奥さんは彼女と一緒で、釣りの前から飽きている様子だ。

お昼過ぎにはもう帰ろうとオジサンが言うと、友人は承知しない。

みんなが弁当を食べているのに、一人で釣り竿を話さない。こりゃー本気だよ、この人。

あと少しと粘られ続けて、最終的には自分一人でウキウキして釣りを楽しんでいた。

岩だらけで、それほど広くない釣り場は何もできない。

しょうがないから、オジサンたちは友人一人残して、ボートで帰ることにした。でも、4人のったせいかボートのすすみ具合が遅くて、進んでいるのかどうかさえ分からない。

くる時は15分くらいで来られたのだが、進まないので、子どもも彼女も心配そうにこっちを見ていたが、遂に…不安な目つきに変わっていた。

オジサンが漕げども漕げども、進まない。オジサンはその時、もう汗だくで、水を浴びたようになっていた。そのザマは、確かに無様だったかも知れないね。

そのうち、友人が、ボートで追いついてきた。

「あれー、なにしてんの」

友人は釣果ににんまりしていて、あっという間にオジサンのこいでいるボートに並んだ。

「どうした、ボート漕ぐのへただなー」

「これでも一生懸命なんだよ」

挙げ句の果てはこっちへ来たらと、自分の家族だけを自分のボートに乗せようとする。

彼女はと言うと、どうも向こうに乗っていきたそうな感じだし、何となくイヤな雰囲気になってしまった。

友人が家族を自分のボートに乗せた時、「お前アンカーしずめたままじゃん」と気がついてくれた。

オジサンは錨を降ろしたまま、船を漕いでいたのだ。

アンカーは海底の藻をこれでもかというくらい引きずっていた。だって彼女の力では持ち上がらないくらいだったんだもの。

それからのオジサンのボートは快適に進み。あっという間に宿にもどることができた。

でも、オジサンと彼女の間にできた溝は元に戻ることはできなかった。

以来釣りにはいってない。というより釣りなんかするものか。

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